本来の目的に従って

本来、このブログでは日々の研究について書くことが多くなるだろうと思っていたのですが、iPhone 4の発表もあってブログ開設以来そっちのことを書いてきました。

別に研究以外の事を書いちゃいけないとかお堅いことを言うつもりはないのですが、ちょうど日刊工業新聞にうちの研究室の記事も載っていたので少し書きます。


まずは、その記事ですがコチラです。

静岡大、人の目で見た色を再現できる画像システムの標準化へ

http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201006090009.html


記事を読んでいただけるとわかるとおもうのですが、うちの研究室では、カラーマネジメントシステムを扱ってます。

カラーをマネジメントするシステムとは…

家電量販店でテレビがズラッと並んでいる前に立っている自分を想像して頂くとわかりやすいのですが各メーカーで色が異なっているのがわかります。

商業用のテレビの場合、実際の物と色が違っていても、困ることも少ないため各メーカーごとに独自の色作りをしています。

しかし、医療用ディスプレイなどではどうでしょう?

各メーカーで独自に色を決めてしまっては正確に色が再現できないため、誤診も発生してしまうこともあるのではないのでしょうか?


ということで、うちの研究などが役に立ってきます。

そう、うちの研究室ではカメラで撮影するところから、ディスプレイに表示し、さらにはそれをプリンターで印刷を行うということをすべて正確(実物と同じ色)に行うシステムを目指しています。

この正確な色再現に対するニーズもそうなのですが、色とは単なる物理的な値というだけでなくて、人間の視覚特性まで考えなければならない非常に奥深い学問であるということが僕がこの研究に感じるやりがいです。

これらの研究も安定的に良い結果が得られるようになってきたため、標準化を目指して6月11日(金)にJSTホールで下平教授が講演をおこなうというのが先程の記事です。

医療関係者、デザイナーなど色に興味をもっている方、行かれてはどうでしょうか(もう締め切り終わってるかもしれませんが…)



あと、最後に標準化に関して個人的にやってもらいたいこと(研究室ではなく国もしくはそういう研究機関(CIEとかNHKとか)にやってもらいたいこと)を少しだけ。

それは、広色域画像、もしくは広色域画像システム用の評価パッチを提案していただきたい。

というのも、最近シャープの4原色ディスプレイや三菱電機のレーザーTVに代表されように広色域(彩度の高い色の表現できる)のディスプレイの開発が行われています。

しかし、それらを評価する画像やパッチというのは今のところありません。

したがって、これらの製品の性能を評価は、独自で作成したイメージデータを使って行われます。

これでは、各メーカーの製品を比較する際に正しく判断することができるでしょうか?

製品でなくとも、考案した色変換アルゴリズムなどを評価するときも同じです。

このような色を扱う業界の発展のためには今後、必要なってくると思いますのでそのあたりことも学会に参加して聞いてみたいと思ってます。